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女性の再婚禁止期間を原則100日に短縮する法改正について

平成28年6月1日、民法の一部を改正する法律が成立し、女性の再婚禁止期間に関する規定が改正されました。

これまで、女性は、前婚の解消又は取消しの日から6か月経たなければ、再婚できないと規定されていましたが(民法733条、再婚禁止期間)、今回の法改正によって、この再婚禁止期間が100日に短縮されました。

また、前婚の解消又は取消しの日から100日が経っていなくとも、前婚の解消又は取消しの日のときに懐胎していなかったことや、同日以後に出産したことなどを証明する医師の診断書があれば、婚姻することが可能となりました。

※民法の一部を改正する法律(再婚禁止期間の短縮等)の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00059.html

 

この法改正は、女性にだけ離婚後6か月間再婚を禁じている民法規定の違憲性に関する判断を下した平成27年12月16日最高裁判決を受けたものです。

もともと、民法733条が、女性は、前婚の解消又は取消しの日から6か月を経過しなければ再婚できないと規定していたのは、前婚と再婚の間に生まれた子の父親が誰であるかを確定する困難を避けるためです。

けれども、その一方で、民法には、結婚(再婚)から200日経過後に生まれた子は現夫(再婚夫)の子、離婚(前婚解消・取消し)後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するとの規定があり(民法772条2項)、離婚(前婚解消・取消し)後100日経過すれば、父親であることの推定は重なりませんでした。

この点を捉えて、最高裁判決は、100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は、法の下の平等を定める憲法14条1項に違反するとともに、両性の本質的平等を定める憲法24条2項にも違反すると判断したわけです。

※最高裁判決は以下をご覧ください。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85547

 

離婚から再婚までの期間と父子推定の関係図(改正後)

もっとも、法務省は、これまでも、再婚禁止期間内であっても、前夫と復縁した、高齢で妊娠できない、前夫が3年以上生死不明などといった場合には、父親が不明確になることはないとして再婚を認める運用をしてきました。ただし、この運用も、再婚禁止期間の不合理な場面を全てカバーするものではありませんでした。

女性は、父子推定のためという理由を超えた、男性にはない不合理な制限を強いられていたわけです。

今回の法改正により、女性の再婚禁止期間を6か月とする法律の不合理性が明らかになると共に、父親が誰であるかを確定する困難を避けるという目的に照らし、再婚禁止期間の制限を受けるべきでない場面が整理されたといえます。

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